| もしハンガリーの人が「コダーイの合唱曲の中でもっと有名で誰からも親しまれているものは？」と聞かれたら，多くの人は「夕べの歌」と答えることでしょう。この曲はそれくらい有名で，コダーイの合唱曲の代名詞といってもいいような作品です。 |
| 歌詞は世捨て人が夕べの野辺に祈りを捧げる様子を描いており，どこかゲーテの「さすらい人の夜の歌」にも似ています。この作品は民謡をもとに1938年に作曲され，混声用（ヘ長調）と同声(男声，女声)用（ト長調）の2種類の版があります。 コダーイ合唱団を1976年に創設して以来，ハンガリーの作品はそのほとんどを私が訳した日本語で歌ってきました。それからほぼ30年になりますが，どの曲の場合も実際にコンサートで演奏し，その結果を反映させながらできるだけ自然な訳になるように心がけたつもりです。「夕べの歌」は私が翻訳をはじめたごく初期の頃のものです。 ＜原詩か翻訳か＞ 「翻訳では言葉のもつニュアンスが伝わらない」という意見がありますが，私は必ずしもそうは思いません。英語,ドイツ語,ラテン語のように，いくらかでもなじみのある言語ならそれでよいでしょう。しかしハンガリー語のように，ほとんどの人が知らない言葉を原語のまま歌うのは，歌う側にも聴く側にも無理があると思います。そんなわけで私はハンガリー作品を訳詞で歌う，という立場をとっているのです。 2004. 4. 5 中村 隆夫 2004.4.5 合唱
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